うまみあふれる文才 おでん編
糸井さんのコラム。
相変わらず凄い。
※画像は関係ない。
おでんのつゆの味。
おでんという料理は、ずいぶんとおもしろい。だいたい、参加している選手の数がやたらに多い。いろんな素材を使う料理は、他にもあるかもしれないが、微妙なちがいも含めて、こんなにいろいろをひとつの鍋に集める料理は、どう考えても他に思いつかない。
おでん種(だね)というか、おでんの具(ぐ)は、とにかくあちこちから集まってきている。
まずは、海からやってくる魚のたぐいだ。ちくわだの、はんぺんだの、かまぼこ、さつまあげ、つみれや、ごぼう巻、イカ巻…そういう練りものは、みんな海から来た魚が材料だ。海のものは、まだまだある。イカは練りものにも使われるが、スルメとしても、イカ巻の中身としても活躍している。タコは、イイダコも含めて華のあるおでん種だ。こんぶも、わかめなどの海藻も忘れてはいけない。
畑からは、ふきやらキャベツやら、じゃがいも、ごぼう、さといも、そして裏の主役とも言えるだいこん! 練りもののサブに使われるとろろいも、さらには、こんにゃくも、畑の土の下からやってくる。とうふや、厚揚げ、がんもどきも実は畑の出身である。
そして、どうぶつたち。にわとりは、つくねやボールとして参加している。そしてその玉子は、こどもにも大人にも大人気だ。ぶたも牛もひき肉でロールキャベツに入る。
これだけたくさんの、出身も作り方もばらばらな個性を、どんどん入れていってもワンチームになっているのは、ひとえに、「おでんのつゆ(出汁)」のおかげである。それぞれの材料に染み込ませ、素材の味わいを引き出す。与えるものであり、与えられるもの、それがおでんのつゆ。つゆのなかで、それぞれのおでん種は自由に活躍する。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。企業理念とかって「おでんのつゆ」だなぁと思ったんです。